話の内容が重たいから、できるだけ誰にも聞かれないようにしたかったのだ。


「で、話ってなに?」


アスカが不思議そうな表情を浮かべてそう聞いてくる。


2年あがってから、こうしてアスカと2人きりで会話するのは初めてかもしれない。


「あのね、中学時代の頃の話を教えてほしいんだけど……」


「中学時代?」


アスカはますますわからないといった表情を浮かべる。


「うん。ちょっと気になる事があって……」


そう言いながらも、あたしはアスカから視線をそらせてしまった。


聞きにくい事だから自然と声も低く、聞き取りにくくなってしまう。


「どうしたの野乃花。なにか言いにくそうだけど」


「うん……」


そう言うと、アスカはなにか感づいたように真剣な表情になった。


「中学の話って……もしかして、チエちゃんの事じゃないよね?」


その言葉にあたしは顔を上げた。


「チエ?」


「違うなら、いいの」


慌ててそう言うアスカ。


「礼にいじめられてた子って、チエっていうの?」