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あたしはぼんやりと聖也の後ろ姿を見送り、屋上の扉が閉められたあとも、ジッとその扉を見つめていた。


「さすがに、あれは嘘だと思うよ?」


結菜はそう言い、お弁当の残りを食べ始めた。


「うん……」


あたしはそう返事をしながら、残りのおかずに手をつけずお弁当箱を閉じた。


もし、万が一。


中学校時代に礼からイジメを受けていた生徒が聖也の知り合いで。


もしくは親友で。


もしくは……好きな人や、彼女だったとして。


聖也はその自殺を予知夢していたとすれば?


聖也が死ぬ人間を助けようとしている事の原因がそこにあるような気がして、あたしは聖也の言葉が忘れられなかったのだった。