礼自身が強いわけではない。


礼の周囲にいる人間が強いのだ。


礼は虎の威を借る狐状態で、周囲に大きな態度を取り、時にイジメの中心的人物にもなる。


「そのやり方がまた残酷でさ。タバコの火を押し付けたり、髪の毛をハサミで切ったりはまだいい方。お金を要求して支払ができなかったら、礼の前でストリップをさせられたりしたんだって」


「ストリップ?」


あたしは首を傾げて聞き返した。


「うん。それを動画に撮って有料サイトに公開するの。礼は人の裸で月に何十万円も手に入れてるって話だよ」


その動画サイトには礼が登録しているため、被害者の子は確認することができない。


気が付けばいつの間にか自分の裸が不特定多数の人に見られ、そして礼にお金が渡っているということだった。


「どこまでも卑劣だね」


あたしは怒りを押し込め、拳を握りしめた。


「だよね。正直礼になんて屈したくはないけれど、敵に回すとなると怖いよね」


結菜はそう言い、ため息を吐き出した。


このまま和を取られてしまうのは悔しいけれど、イジメのターゲットになって学校生活を終わらせてしまうのはもっと嫌だった。