「なに?」


「人が死ぬときって、背筋が寒くならないか?」


その言葉にあたしは「え……?」と、言葉を失ってしまった。


けれど、聖也の言葉にはきっと深い意味なんてないのだと、思い直す。


「なに言ってんの。人は世界中で何人も何十人も何万人も毎日毎日死んでるんだよ? それなのに、その度に寒気がしてたら風邪引いちゃうじゃん」


あたしは軽い口調でそう返事をした。


これはあたしが中学生の頃自分自身に言い聞かせていた言葉だった。


世界中の死がわかるわけじゃない。


だから番号なんて気にしていられない。


そう思う事で、あたしは気持ちが軽くなり友達もできるようになったんだ。


「風邪をひくって、その発想はなかったなぁ」


聖也はそう言い、おかしそうに笑った。


あたしはそんな聖也を見て首を傾げた。


変なやつ。