だけど勉強に集中なんてできるわけもない。


困っていると、クラスメートの佐田礼(サタ レイ)が声をかけて来た。


黒髪を巻いてアップにし、ブルーのアイシャドーに赤いリップ。


クラスの女子の中で一番派手な子だ。


クラス内のカースト制度のトップ。


礼に目を付けられたら100%の確率でイジメのターゲットになってしまう。


礼の視線にあたしは生唾を飲み込んだ。


あたしに何か用事があるのか、ジッとこちらを見ている。


「な、なにか用事?」


「和君と一緒に勉強するなら、あたしも一緒にいい?」


その言葉にあたしと結菜は目を見交わせた。


表面上はニコニコとほほ笑んであたかも『3人で勉強しよう』という雰囲気を出しているけれど、和と2人きりで勉強したのは見え見えだ。


どう返事をしようかと困っていると、膝に置いていた右手の甲をつねられた。


驚いてみると、礼は変わらぬ笑顔を浮かべている。