「聖也は、どうして何度も人の命を助けようとするの?」


あたしが聞くと、聖也は口角を上げたまま左右に首を振った。


まだ話す時じゃない。


そんな雰囲気だ。


あたしはその態度に少しだけムッとしてしまった。


あたしの秘密を知っているのは聖也だけ。


聖也の秘密を知っているのはあたしだけ。


それなのに教えられない事があるなんて、なんだかカヤの外にいる気分だ。


「いつか、話せるときがきたらね」


聖也はそう言うと、立ち上がった。


あたしも慌てて立ち上がる。


「さぁ、今日は課題が出てるんだろ? 早く帰ろう」


聖也の言葉で課題の存在を思い出したあたしは、空を見上げて悲痛な声を上げたのだった。