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体育の授業を1人でサボって、屋上から教室へ戻ってくると、教室内には大鳥聖也(オオトリ セイヤ)の姿しかなくて、あたしは一瞬とまどった。


普段あまり会話をしない聖也はあたしを見て「みんなグラウンドだよ。男子が休憩時間中もサッカーしてて、女子はそれを見てる」と、窓を指さした。


窓の外を見て見ると、たしかにみんなの姿がある。


「野乃花はどうしてここに?」


そう聞かれて、あたしはまた戸惑った。


聖也に野乃花と呼び捨てにされるのはなんだか妙な気分だ。


「屋上でサボってたから。聖也は?」


聖也に右倣えをして呼び捨てにすると、聖也は嬉しそうに笑った。


「俺はここで自習してた」


「サボりか。あたしと同じだね」


「俺はサボってないよ。ちゃんと先生に伝えて勉強してたんだから」


そう言い、聖也は保健体育の教科書を見せて来た。


本当にちゃんと勉強していたようだ。


生真面目な性格なのかもしれない。


窓からのサッカー観戦に飽きてあたしは自分の机に座った。


誰もいないから、自然と聖也へ視線が向く。


「あのさぁ」


あたしの視線に気が付いたのか、聖也がそう言った。