「キャンプに行くっていったら、ちゃんとしたキャンプ場に行くと思うだろ? でもおじさんは違ったんだ。


とにかく山に行こうってことで無計画に車を走らせて、誰の所有地かもわからない山に張り込んで、そこにテントを張ったんだ」


「危ないじゃないですか」


聖也が驚いたようにそう言った。


人の手が入っていない山なんて、どんな動物がいるかもわからない。


一歩踏み込んでしまえば生きて帰れる保証だってない。


「だろ? 夜なんて怖くて眠れるわけがないのに、『初めてテントで寝るのは興奮するだろ!』とか言っててさ、俺と幸彦は獣の声にビクビクして過ごしたよ」


聡さんはそう言い、笑った。


そして次の写真を指さし、4人でどこにいったのかと話してくれた。


聞けば聞くほど丸山先生の家族はとても素敵なのだと言う事が伝わってきて、心の中が暖かくなったのだった。