そう言いながらテーブルにアルバムを広げた。


アルバムの表紙には取られた年代が書かれている。


一番古い物は今から17年前のものだった。


「これこれ、ここに来てすぐに写真を撮られたんだ。俺と幸彦は困惑した顔してるだろ?」


聡さんはそう言い、一枚の写真を指さした。


そこには幼いころの丸山先生が、聡さんの手をギュッと握りしめ、険しい顔で写っていた。


「家に入る前に一枚撮るぞ! っておじさんにいきなり言われてさ、それまでも写真が好きだってことは聞いてたけど、まさかここまでとは思わなかったよ」


聡さんはそう言い、呆れたような笑顔を浮かべた。


隣の部屋ではそんなおじさんの豪快な声が聞こえて来る。


葬儀場でも挨拶はしたけれど、白髪交じりでお腹がでた貫禄のあるおじさんだった。


丸山先生が亡くなったというのに家の中は騒がしく、先生の思い出話に花が咲いているようだった。


「これを見てくれよ。初めておじさんとおばあさんにキャンプに連れて行ってもらったんだ」


そう言い、聡さんは一枚の写真を見せて来た。


それはどこかの山で採られたもので、組み立てられたテントの前で撮影されている。


「なんだかうかない表情をしてますね?」


あたしは写真の中の2人の表情が気になってそう言った。


2人と一緒にうつっているおじさんとおばさんは笑顔なのに、先生と聡さんは笑っていない。


「あぁ。だってこの場所キャンプ場じゃなかったんだよ」


聡さんは当時の様子を思い出したのか、突然笑い出した。