「写真?」


「はい。できれば写真をみながら話を聞きたいので」


あたしは聖也の言葉に何度も頷いた。


写真が見たいと言えば、聡さんはあたしたちを家に招いてくれるだろう。


家に入ってしまえば、丸1日そこで過ごす事も可能になってくる。


でも問題は、そんな簡単に家に上げてくれるかどうかだった。


「そんなに慕ってくれる生徒がいるなんて、幸彦は幸せ者だな」


聡さんはそう言い、ほほ笑んだ。


好感触のようだ。


「でも、アルバムは家にしかない。いくら君たちでも家に入れる事はできないよ」


残念そうに聡さんはそう言った。


「ダメですか……?」


「あぁ。そもそも俺の家じゃなくて、親戚の家だしね」


あぁ、やっぱりそうなんだ。


そんな簡単に、うまくいくはずがない。


あたしはため息を吐き出して聖也を見た。


聖也は何か必死で考えているようだけれど、葬儀の場で無理強いなんてできなかった。


ここは素直にあきらめた方がいい。


そう思った時だった。


聡さんの後ろから50代くらいの女性が声をかけて来た。