聖也の腕の傷はすべて古いもので、新しい肌が生まれ白く変色しているだけだった。


「痛みも苦しみも、もうここには存在しない。この傷があるから言えないのなら、整形手術で傷痕を消してもいい。この傷はもう過去なんだ。今とは違う」


聖也は真剣な表情でそう言った。


「聖也……」


あたしは申し訳ない気分になった。


聖也の傷はとっくの前に消えている。


それなのにあたしは、聖也は予知夢を抱えきれないのだと決めつけていた。


「……わかった」


あたしはそう言うと、丸山先生のお兄さんを指さしたのだった……。