「頼むよ!」


聖也がそう言い、あたしに頭を下げた。


「や、やめてよ」


あわてて聖也の頭を上げさせる。


あたしに頭を下げてまで死ぬ人間を教えてほしいなんて、聖也の過去に一体なにがあったんだろう。


「これが気になるからか?」


聖也が静かな口調でそう言った。


傷ついた手首があたしの前にかかげられる。


あたしは思わず息を飲み、視線を逸らせた。


昔の傷だとわかっていても痛々しい。


「よく見て」


聖也に言われ、あたしは軽く体を震わせた。


どうして聖也はこんな事をするんだろう。


まるでイジメられているような気分になり、あたしは聖也を睨み付けた。


「この中に昨日今日でついた傷が1つでもあるか?」


その質問にあたしはハッとした。