「見たのか?」


そう言われ、我に返って聖也を見る。


心臓はドクドクと大きく乱れて呼吸が苦しくなった。


そして、小さく頷いた。


「誰だった?」


夢をよく覚えていないと言う聖也は、すがるような視線をあたしへ向けた。


その視線にたじろき、左右に首をふるあたし。


言えば、聖也はまた人の命を伸ばそうとするはずだ。


それが失敗に終われば、聖也はまた自分を責めるかもしれない。


あたしは聖也の手首に刻まれている傷を見た。


黙っている方が聖也のためになる。


しかし、聖也は許してくれなかった。


「教えてくれ。誰が死ぬんだ?」


「お……教えられない……」


あたしはまた左右に首を振った。


次に死ぬのは丸山先生の兄弟だ。


恐らくはお兄さん。


兄弟そろって助けられないかもしれない。