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いつもの通学路だったけれど、昨日の結菜の言葉のせいで妙に意識してしまう。


和とどんな顔をして会話すればいいのかわからない。


自分が変な顔になっていないか、何度も手鏡を取り出して確認した。


一旦教室へ入り鞄を置いたあたしたちは、すぐにグラウンドに整列していた。


これからバスに乗って丸山先生の葬儀場に行くのだ。


ずらりと並んだクラスメートの中に和の顔を見つけて、あたしは咄嗟に目をそらせてしまった。


恥ずかしくて、和の顔をまともに見る事もできない。


そのまま和の隣を通り過ぎようとしたときだった、不意に呼び止められた。


「野乃花、顔が赤いけど熱でもあるのか?」


心配そうな和の声。


あたしはハッとして立ち止まり、和を見た。


和は本当に心配そうな顔をしている。


あたしは無理やり笑顔をつくり「大丈夫だよ」と言うと、逃げるように自分の列へと移動したのだった。