翌日。


あたしと聖也は昨日の出来事でお互いを意識しあうようになっていた。


友達とも恋人とも違う、だけど常に意識してしまう関係。


ふとした瞬間に目が合い、お互いに笑顔を返す回数は格段に増えた。


「野乃花!」


机に教科書を閉まっている所に声をかけられてあたしは振り向いた。


結菜が不安そうな表情でこちらへ向かってくる。


「結菜……」


「昨日の連絡網、聞いた?」


「……うん」


丸山先生が亡くなった事は、昨日の夕方ごろ連絡網で流れていた。


今日は朝から全校集会があり、その後うちのクラスはまた自習だ。


今日が通夜だと聞いたから、明日はみんなで葬儀へ行く事になるようだ。


「亡くなったんだよね……」


結菜はまだ信じられないという表情でそう呟いた。


「……うん」


あたしは結菜から視線を逸らせた。


頷くことしかできない。


声をかけることができない。