それから数時間が経過していた。


あたしと丸山先生の両親と、担任の先生は霊安室の前にいた。


丸山先生は手術室から出て来ることなく、そのまま息を引き取ったのだ。


やっぱり……。


あたしはそう思った。


やっぱり、死ぬとわかっている人間を助ける事なんてできないんだ。


あたしは丸山先生の顔を見てそう思った。


フルフェイスのヘルメットをしていたおかげで、その顔はとても綺麗なままだった。


それでも長い時間先生の顔を見ていることはできなくて、あたしと聖也はすぐに霊安室を後にした。


「死亡時刻は午後3時35分」


聖也が呟く。


「なに?」


あたしがそう聞くと、聖也は目を輝かせてあたしを見て来た。