「今回は無理かもしれない。だけど、次は助けられるかもしれない」


聖也はそう言い、またほほ笑んだ。


それはとても前向きな意見で、だけどただの綺麗ごとだった。


「何度やってもダメだったのに、本気でそんな風に思ってるの?」


「もちろんだよ。じゃないと、俺が……俺たちがこの力を持って生まれた意味がわからない」


どうやら聖也は自分の能力になにか意味があると思っているようだ。


もちろん、最初はあたしだってそう思っていたし、死ぬとわかっている人間のために行動したりしていた。


しかし、時間が経てばたつほどこの能力には意味なんてなくて、死ぬ人間を助ける事もできないのだと、突き付けられて来たのだ。


「あたしはそんな風には思えない」


そう言い、あたしは天井を見上げた。


この能力は、神様がイタズラで作ったものだ。


そうでなければ、突然変異で産れただけだ。


「それならそれでいいと思うよ」


聖也はそう言い、小さく笑ったのだった。