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手術室の前には丸山先生のお父さんと、お兄さんがいた。


2人とも深刻そうな表情でソファに座り、時々目頭を押さえてため息を吐き出した。


あたしは手術中の赤いランプを見た。


今丸山先生は頑張っている。


でも……二けたになっていた番号札を思い出すと、その命はもうすぐ燃え尽きるのだと、あたしは知っていた。


「手術が終わるまで待つの?」


聖也にそう聞くと、聖也は「あぁ」と、頷いた。


本当に聖也はテコでも動かないつもりらしい。


それならそれでいい。


手術が終わるまでに色々と話が聞ける。


「少し場所を移さない? 話がしたいんだけど」


そう言うと、聖也は少し驚いたようにあたしを見て、小さく頷いたのだった。