だけど、政府は考えた。


みんなそれぞに能力があるが、それを知らずに生きていたらどうなるのか。


能力はあって当然と思われているから雑に扱うようになる。


もっと慎重に使うようになるために、まずは被験者を2人用意しようと。


2人は自分たちだけに特別な能力があるように見せかける。


例えば能力が発動し始める幼少期に、周囲から異様な目で見られるのがいいだろう。


自分たちの力は他の人は持っていないんだと思い込ませる。


彼らがどのように能力と向き合い、どのように能力を使うのかを観察しよう……。


「観察期間は今日の午後10時まで。それが終われば被験者として開放されて、みんなと同じように生きていくことができたのにね」


委員長が、あたしの肩を抱いてそう言った。


「……うん」


あたしは小さく頷いた。


「あいつら2人してどんな物を見てたんだろうなぁ」


男子生徒がそう呟いた。


不意に、あたしはその言葉にひっかかる。


「委員長、さっき言ったよね?『あの2人はあたしたちを助けるために?』って」


「言ったよ?」