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聖也の運転によりバスはゆっくりと動き始めた。


窓の外では困惑顔を浮かべているクラスメートたち。


一瞬、結菜と目が合った。


結菜は混乱の中にも不安が混ざった表情をしている。


「結菜……」


あたしは窓に駆け寄りそうになって、グッと我慢した。


「後悔してる?」


少しバスを走らせたところで、聖也が聞いて来た。


「ううん。どうせ死ぬんなら、やるだけやって死ぬのもいいかもしれないし」


あたしはそう答えた。


雨が降り出して、外はとても視界が悪かった。


そんな中、バスは予定通り山道へと向かっていた。


「ここであたしたち2人が死んで、みんなが生き残る?」


「そうなればいいなって、正直思ってる。でも、俺たちは神様じゃない。だからそんなおこがましい感情は捨てるんだろ?」


聖也にそう言われて、あたしは思わず笑ってしまった。


「そうだったよね。だからわざわざバスジャックなんてしたんだもん」


少し遠くに稲光が見えて、感覚を開けて雷の音が聞こえて来た。