「丸山さん、すみません。すぐ学校へ戻しますから」


先生がそう言い慌てて頭を下げる。


丸山さん?


この人は丸山先生のお母さんということか。


慌てて家を飛び出して来たのか、足元はサンダルだ。


「あら、いいんですよ? うちの息子を心配してここまで来てくれたの?」


そう聞かれると、聖也は真っ直ぐに丸山先生のお母さんの顔を見て「そうです」と、頷いた。


「今手術中だから会う事はできないけれど、近くまで行く?」


「行きます」


聖也は躊躇することなく、そう返事をしたのだった。