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それから、あたしは聖也に昨日の夢の内容を聞きながらゆっくりと学校へ向かっていた。


「つまり、今日のバス旅行で全員が死ぬってこと?」


あたしは聖也にそう聞いた。


「おそらくは。外へ出た生徒もいたけれど、バスの前後は倒れた木にハマされていたんだ。逃げ道はなかったはずだ」


その状態でバスが爆発を起こせば、間違いなく巻き添えになっているだろう。


「そんな……」


あたしは見えない自分の番号札へ視線を向けた。


あたしは今自分の番号が何番なのか知らない。


けれど、ほぼ同時に死ぬのなら聖也と同じくらいの番号になっているのだろう。


「俺たちにできることを考えたんだけど……」


「なにか、いい方法が見つかった?」


そう聞くと、聖也は左右に首を振った。


「いい方法とは言えないかな。でも、わざと遅刻して行ったりることで、時間を変える事はできる」


聖也の言葉にあたしは頷いた。


それはそうかもしれない。


だけど、それでは死ぬ運命は変えられない。


「誰かが犠牲になる方法は?」


聖也にそう聞いてみると、聖也はすぐに顔をしかめた。


「ダメだ。ひとクラス分の人数を犠牲になってもらうなんて、不可能だ」


「……そうだよね……」