俺と野乃花は確実に惹かれあっている。


だけどまだ恋人同士ではないのだ。


調子に乗りすぎるな、俺。


そう思った時だった。


「いいよ」


野乃花が恥ずかしそうに視線を伏せながらそう言ったのだ。


「え?」


今度は俺が驚いて目を見開く番だった。


「もう一泊してもいいよ」


俺が聞こえなかったと思ったのだろう。


野乃花が、今度はハッキリとした口調でそう言ったのだ。


「え、まじで……?」


思わず挙動不審になってしまう。


野乃花がもう一泊する。


それだけで心は舞い上がっていた。


「課題はまだ残ってるし、一緒にやろう」


野乃花は照れ隠しのようにそう言った。


「あ、あぁ」


俺は大きく頷いたのだった。