野乃花が俺の部屋に泊まるなんてまるで夢のようだった。


俺と野乃花は2人だけの秘密の能力について話をして、課題をして、夕飯を食べた。


途中で我慢できなくてキスしてしまったけれど、野乃花は嫌じゃないと言ってくれた。


それは俺にとってともて嬉しい返事で、にやけてしまうのを我慢するのに必死だった。


俺と野乃花は出会うべくして出会ったんだ。


そう感じていた。


「もう一泊する?」


俺が野乃花にそう聞いたのは、翌日の昼過ぎだった。


2人でファミレスに来て昼食を食べた直後の事だった。


野乃花が今日で帰ってしまう。


そう思うと途端に切なくなって、思わず口にした言葉だった。


野乃花は驚いたように俺を見て、頬を赤くして視線を外した。


さすがに今の発言はまずかったかもしれない。


昨日は野乃花と一緒に寝ても我慢することができたけれど、今日も我慢できるは限らない。


ロフトベッドに眠っている野乃花に手を出してしまう可能性だってある。


「ご、ごめん。今のは忘れてほしい」


俺はすぐにそう言って、水を飲んだ。