聖也はあたしの死を予知夢したのではない。


あの4人が死ぬところを見たんだ!!


そう思った瞬間、車の音がすぐ近くで聞こえて来た。


逃げ遅れた男たちの悲鳴。


肉が飛びちる音。


車があちこちにぶつかり、そしてようやく音は静かになった。


見ていなくてもその光景は想像できて、あたしはきつく聖也に抱き着いた。


「運転手は少し前に急死し、通行人を次々とひき殺しながらこの駐車場で停車したんだ」


聖也はゆっくりとした口調でそう言った。


「それを予知夢したの?」


「あぁ」


「4人は……?」


「死んだ」


聖也の言葉に心臓がドクンッと大きく跳ねた。


体が小刻みに震え始める。


「助けなかったの?」


「今回は助ける必要がないと判断した」


聖也の口調はとても冷静だった。


「それってどうして……」


そう質問し終わる前に、あたしの唇は聖也の唇によって塞がれていた。


「野乃花が無事でよかった」


あたしのために、聖也は4人を最初から見捨てたのだ。


それはとても残酷な判断で、だけどそれはあたしがずっとしてきた事だったのだ……。