それは真っ直ぐに走っているのではなく、時々どこかへぶつかりながら走っているような音だった。


とにかく逃げなきゃ!


そう思ったときだった。


あたしは誰かに腕を掴まれ、引きずるように駐車場の端まで移動させられていた。


車の中にいた誰かだと思い、悲鳴を上げそうになると強い力で口をふさがれてしまった。


「俺だよ、安心して」


耳元に聞こえてきた声に、あたしはハッと目を見開いた。


聖也!?


その相手は聖也で、あたしは更に混乱する。


どうして聖也がここにいるの?


もしかして、また予知夢でこの場所を突き止めてくれたの?


いろんな考えがまとまらない中、車から4人が出てきて周囲を探し始めた。


あたしを探しているのだ。


駐車されている車の陰に隠れているあたしは、聖也に抱き着くようにして身をかくした。


このまま見つかったら聖也まで巻き添えになってしまう!!


そんな恐怖が浮かんでくる。


しかし、その時だった。


どこからか聞こえてきていた車の音が近づいてきたのだ。


4人は動きを止め、車の音を確認するために駐車場の入口へと移動していく。


あたしは聖也の胸から顔を上げようとしたが、聖也があたしの頭を強く抱きしめてそれを制した。


「見ない方がいい」


その言葉にあたしは一瞬ですべてを理解した。