「結菜はあたしの親友だから」


こんなところで友達の名前を出すのは抵抗があったが、今は仕方がない。


「まじか……」


金髪男が目を丸くしてあたしを見る。


「なんだよ、どうした?」


運転していたモヒカン男がしびれを切らして聞いてくる。


「なんだよ和、なんでこんな女連れて来たんだテメー!!」


金髪男はあたしの後ろにいる和の胸倉をつかみ、引き寄せた。


その隙にあたしはドアの方へと移動する。


「ちょ、なに怒ってんだよ」


和は混乱した声を漏らす。


「結菜の親友なんか連れてきてんじゃねぇよ!!」


金髪はそう怒鳴り、和に殴りかかった。


この怒り方は普通じゃない。


金髪男は結菜に相当な思いれがあったようだ。


もしかしたら、結菜の事が好きだったのかもしれない。


そう思うが、今はそんな事を確認している暇じゃなかった。


あたしはドアの鍵をあけ、外へ出た。


転がるように駐車場へ出た瞬間、どこからか車音が聞こえて来た。