あたしは車が広い駐車場へと入って行くのを見た。


ここはどこだろう?


そんなに遠くまでは来ていないはずだ。


誰かに連絡ができればいいんだけれど……。


そうは思っても、右側に金髪男。


左側には和がいる。


簡単に誰かに助けを呼ぶことはできなさそうだ。


「この前の続きと行きますか」


金髪男がそう言い、後ろのせきから小さなスーツケースを取り出した。


見覚えのあるそれにゾクリと背筋が寒くなるのを感じた。


あの中には注射器と薬が入っている。


「結菜が……」


あたしは咄嗟にそう言っていた。


金髪男が手を止めてあたしを見る。


「結菜が悲しむよ」


あたしは真っ直ぐに金髪男を見てそう言った。


若干声が震えていたかもしれない。


しかし、男は明らかに動揺していた。


「なんでお前が結菜の事知ってんだよ」


威嚇するように金髪男が聞いてくる。


結菜の名前を知っていた!!


一か罰かの賭けだったけれど、この男が結菜の好きだった相手に違いない。