「俺さ、こいつらに借金があるんだよ。20万円」


「借金……?」


「そう。でもまぁ、俺なんてずっと遊んでばっかりだから返す金がないわけ。そこで考えたのが、学年で一番可愛い野乃花に手伝ってもらおうってこと」


そう言い、和は今までと変わらぬ笑顔を浮かべた。


「どういう事……?」


「野乃花の体で、俺の借金返してよ」


和はなんの躊躇も見せず、そう言ったのだ。


あたしは自分の耳を疑った。


これが和から発せられた言葉だなんて考えられなくて、何度も深呼吸を繰り返した。


悪い夢なら覚めてほしい。


そう思うけれど、この夢はちっとも覚めてはくれなかった。


「前に紹介してくれた礼ちゃんも可愛かったけど、あれは男経験豊富そうだったから、20万も価値がねぇからな」


金髪男がそう言った。


「できれば礼辺りで手を打ってほしかったんだけどなぁ俺は。だって、野乃花の事少しは好きだったし」


和が残念そうにそう言う。


少しはって……和の言葉にあたしの胸が痛むのを感じた。


和があたしに近づいて来た理由がこんな事だったなんて。


まんまと騙されてここまで来てしまった自分が情けなかった。