全力で走ると下駄箱でようやく聖也に追いついた。


聖也は驚いたように目を丸くしてあたしを見る。


「どこへ行くの?」


息を切らしながらそう聞くと、聖也は「早退する」と、返事をした。


「体調が悪いワケじゃないでしょ」


「いや、体調が悪いんだ。だから体育の授業も休んだ」


そう言われ、あたしはグッと言葉に詰まった。


確かに聖也は体育の授業を休んでいた。


でも……「丸山先生の所へ行くの?」あたしはそう聞いていた。


聖也は振り返り、そしてジッとあたしを見つめた。


その目は真っ直ぐすぎて思わずそらせてしまいそうになる。


「どうしてそう思うんだ?」


「だって、このタイミングで急に早退するとか言うから……」


あたしはしどろもどろになりながらそう言った。


それに、聖也があたしに言った言葉も気になっていた。