結菜の好きだった人の話なんて今まで聞いたことがなかったから、すごく興味があった。


「高校1年の頃、学校に行ってない金髪の同級生の事が好きだった時期があるの」


結菜は恥ずかしそうにそう言った。


「へぇ、そうなんだ!」


「すっごくカッコよくてね、タバコとかお酒とか当たり前みたいにやってるんだけど、その姿さえカッコいいと思っちゃったんだよね」


「イケナイ男の人に憧れてたんだ!!」


「今思い出せばそうだね」


結菜はそう言い、顔を赤らめて笑った。


「今はその人の事好きじゃないの?」


そう聞くと、結菜は途端に表情を曇らせた。


なにか聞いてはいけない事を聞いてしまったかと思い、内心焦る。


「その人ね、今はもっと危険な事に手を出してるみたいなんだ」


「え?」


あたしは首を傾げて結菜を見た。


「毎日夜の街で遊んでるらしくて、その……ドラッグとかにも手を出してるって聞いたの。ただ噂だからわからないけどね」


結菜は慌てたように最後に擁護の言葉を付け加えた。


しかし、その噂にはかなり信憑性があったのだろう、結菜は自分から身を引いたそうだ。