結菜があたしの家に泊まりに来るのは久しぶりの事で、あたしたちは夜遅くまで話を続けていた。


授業内容の不満から、恋の話まで。


「結菜は好きな人できないの?」


結菜と出会ってから、結菜の恋の話は聞いたことがなかった。


「特にいないんだよね」


結菜は残念そうにそう返事をする。


嘘をついているようには見えなかった。


「好みのタイプは?」


そう聞くと、結菜は難しそうに首を傾げた。


「これっていう人はいないんだよね。好きになればなんでもいいのかもしれない」


「あぁ、なんだかわかる気がする」


あたしは頷いた。


好きな相手ならなんでも許せてしまう気持ちはあたしも一緒だ。


「でもね、それが原因で少し悪い人に憧れた時もあるんだぁ」


結菜は昔を懐かしむような口調でそう言った。


「なになに? 結菜が昔好きだった人?」


あたしはすぐにその話題に食いついた。