『大丈夫だよ野乃花。それよりも服屋バッグを決めなきゃ』


そう言われてハッと我に返った。


そうだった。


和の私服は見たことがないけれど、学年1の和と並んで歩くんだから半端な服じゃだめだ。


あたしは電話を片手にクローゼットを開けた。


一応、女の子らしい洋服もちゃんと持っている。


だけど、どれがデート服として相応しいのか、あたしにはわからなかった。


「どうしよう結菜。何を着ていけばいいだろう」


『わかったじゃぁ、今から行くね』


「へ!?」


『あたしの私服で可愛いやつも持って行くから!』


結菜はそう言うと、あたしの返事を待たずに電話を切ってしまったのだった。