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バスの中で彼女の告白を聞いたあたしたちは、礼の葬儀場に到着した時にはすっかり気持ちが変化していた。


礼が亡くなってしまったショックよりも、ホッとした気持ちの方が強かったのだ。


礼が中学時代に女子生徒を自殺に追い込んだ事も多くの生徒たちが知っていたようで、「これで被害者が減る」という声が、どこからともなく聞こえて来た。


「申し訳ないけど、俺も悲しむことができないな」


あたしと通り過ぎる瞬間、聖也が呟いた。