そんな事があったんだ……。


なにも知らなかったあたしは、ぼんやりと外の景色を眺める。


高校に入学してからはイジメというイジメはないと思っていた。


けれど、水面下で礼はそれに似たことをまだ繰り返していたのだ。


「カッコいい男の子を見つけたら礼はすぐどっかに行っちゃうの。あたしは夜の街に置き去り。だけどね、こんなあたしでも声をかけてくれる人は何人かいたんだよ」


その言葉にあたしはハッとした。


この前の3人の男たちを思い出す。


「だけどあたしは別に彼氏がほしいわけじゃないし、危険な感じがするし。



礼がお気に入りを見つけるまではそばにいて、礼がいなくなれば家まで走って帰る。


何度か危険な男たちに掴まりそうにもなった。


それでもあたしは礼に逆らうことができなかったの。体操着に着替えている時の写真を撮られていたからね」


今までの屈辱をすべて吐き出すように、一気にそう言い彼女は大きく息を吐き出した。


彼女が礼に脅されていたなんて、あたしも知らなかった。


「ひどい……」


友人が呟くように返事をした。


「やっぱり、そんなヤツだったんだよな」


和の声が聞こえてきて、あたしは振り向いた。


和は真剣な表情を浮かべている。


和は今、どんな気持ちでいるんだろう。