聖也は誰に言うでもなく、そう言った。


聖也の気持ちは痛いほどよく理解できた。


ライブハウスから出て来た時の礼の態度を思い出すと、今でも信じられない気持ちになる。


礼は自分を守るためにあたしを犠牲にしたのだ。


そして礼の番号札は4ケタまで戻った……。


「あれ?」


突然聖也が足を止めた。


「なに?」


聖也の視線を追いかけてみると、そこには礼が立っているのが見えた。


すぐに家に帰ったのかと思えば、礼はまだ外で遊んでいたのだ。


礼の隣には長身でカッコいい男性。


礼はその人の肩に自分の頭をもたげるようにして歩いている。


その様子に腹の底から怒りがわいてくるのを感じていた。