あたしは聖也に抱えられるようにして歩いていた。


自転車はネオン街に置きっぱなしだけれど、取りに行く勇気はなかった。


「聖也って強かったんだね」


3人の男を次々と倒していった聖也。


「一応鍛えてるんだ。予知夢の関係でいつか役立つと思ってさ」


「そっか……」


そのお蔭であたしはこうやって助かる事ができたんだ。


「礼が今日死ぬことも、聖也はちゃんと見えてたんだよね?」


「……あぁ」


聖也は頷いた。


いつもの聖也なら、人の死がわかったら自分から行動していた。


だけど、今日はそんなそぶりを見せなかった。


「俺は、あいつだけは許せない」