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注射器の針があたしの腕に触れた瞬間、男が「ぐえっ」という悲鳴を上げて社外へと投げ出された。
突然のことで状態が把握できず、キョトンとしてしまう。
その間にあたしの体は持ち上げられ、車の外へと移動させられてしまっていた。
横を見ると気絶しているモヒカン男。
車の中から男の悲鳴と怒号が聞こえて来たかと思うと、すぐに静かになった。
「もうちょっと考えて行動しなよ」
そう言いながら車から出て来たのは聖也だったのだ。
「どう……して……?」
震える声でそう聞くと、聖也は呆れたようにあたしを見た。
「俺の能力の事忘れた?」
そう言われて、ハッとした。
そうだ、聖也の能力は予知夢。
あたしがここで襲われて死ぬところを見たのだ。
「驚いたよ。昨日の夜はここで礼が死ぬ夢を見た。それなのに、夜眠っている間に今度は野乃花がここで死ぬ夢を見たんだから」
その言葉にあたしはなにも返せなかった。
自分の無鉄砲さに情けなくなり、聖也にどう感謝すればいいかもわからない。
たださっきまでの恐怖はまだ体を包み込んでいて、聖也に抱きしめられながら震えている事しかできなかったのだった。
注射器の針があたしの腕に触れた瞬間、男が「ぐえっ」という悲鳴を上げて社外へと投げ出された。
突然のことで状態が把握できず、キョトンとしてしまう。
その間にあたしの体は持ち上げられ、車の外へと移動させられてしまっていた。
横を見ると気絶しているモヒカン男。
車の中から男の悲鳴と怒号が聞こえて来たかと思うと、すぐに静かになった。
「もうちょっと考えて行動しなよ」
そう言いながら車から出て来たのは聖也だったのだ。
「どう……して……?」
震える声でそう聞くと、聖也は呆れたようにあたしを見た。
「俺の能力の事忘れた?」
そう言われて、ハッとした。
そうだ、聖也の能力は予知夢。
あたしがここで襲われて死ぬところを見たのだ。
「驚いたよ。昨日の夜はここで礼が死ぬ夢を見た。それなのに、夜眠っている間に今度は野乃花がここで死ぬ夢を見たんだから」
その言葉にあたしはなにも返せなかった。
自分の無鉄砲さに情けなくなり、聖也にどう感謝すればいいかもわからない。
たださっきまでの恐怖はまだ体を包み込んでいて、聖也に抱きしめられながら震えている事しかできなかったのだった。