「なぁ、お前本当に礼ちゃんの友達か?」


隣に座っている金髪の男がそう聞いて来た。


あたしは小刻みに震えるだけで首をふることもできなかった。


「友達だろ? 階段でばったりあった時2人とも顔見知りって感じだったじゃん」


「確かに。じゃぁ、まぁいっか」


金髪男の疑問はすぐにどうでもいいものへと変わったようで、座席の下から何かを取り出した。


それは小さなスーツケースで、蓋を開けるとそこにはビニール袋に入れられた白い粉や注射器といった道具が入れられていた。


ドラッグだ……!!


咄嗟にドアに手をかけるが、すでにロックされていて開かない。


鍵を開けようとしても焦ってうまく開ける事ができなかった。


「逃げるなよ?」


金髪男があたしの体を羽交い絞めにして、そう言った。


「大丈夫だって、君も楽しめるようにしてあげるから」


モヒカン男があたしの後ろの席からそう声をかけ、スーツケースの中のものを準備し始めている。


その時あたしの脳裏に中毒死という言葉が浮かんできた。


礼の死はドラッグによる中毒死だったのかもしれない。