その時だった。


突然周囲が明るくなったと思うと、カメラのシャッター音が鳴り響き、あたしはハッと振り向いた。


そこにはスマホを構えた礼が立っていた。


礼はいやらしい笑顔を浮かべて「2人とも仲良いね。付き合ってるの？」そう言い、カメラで撮影されたあたしと聖也のツーショットを見せて来た。


瞬間的に、礼の意図がわかった。


それを和に見せるのだ。


礼が背を向けて走り出す。


追いかけようと一歩足を踏み出して……止まった。


「なにしてんだよ、追いかけろよ」


聖也が横からそう声をかけて来る。


「……なんか、もういいや」


あたしは呟くように言った。


「は？　あの写真を他の誰かに見られたら絶対に誤解されるぞ？」


「わかってる」


あたしは頷く。


礼はあの写真を必ず和に見せるだろう。