聖也だって、チエさんが亡くなったから能力を真正面から見るようになったんだ。


聖也の心の中にはチエさんがいる。


「恋人じゃなくていいんじゃないかな」


聖也がそう言って、あたしは顔をあげた。


「親友で、いいんじゃないかな」


聖也の言葉が、ストンッと胸の奥に落ちる音がした。


「親友……」


「うん」


聖也は頷く。


それなのに、心のどこかに寂しさが湧いて来た。


どうして寂しいと感じるのか、あたしにはわからない。