☆☆☆

「本当にいいの?」


雑貨屋を見て回りながら結菜がそう聞いて来た。


「なにが?」


あたしの手には買い物カゴ。


その中にはいくつかの商品がすでに入れられていた。


特別ほしいものじゃなかったけれど、なんだかむしゃくしゃして買い物したい気分だった。


「礼と和の事」


そう言われてあたしはムッとした表情隠しもしなかった。


「いいわけないじゃん」


「そうだよね……」


だけどなにもできない。


それは結菜だってよく理解してくれている。


礼のやり方は恐ろしい。


聖也の恋人もそのせいで自殺してしまっている。


あたしは自分の能力を見て見ぬふりしているのと同様に、自分の恋心も見て見ぬふりをしたのだった……。