あたしが聖也と別れて家に帰るまでの道のりで、1人のおばあさんとすれ違った。


腰がまがり、足元もおぼつかない。


チラリと横目で見ると、番号は一桁まで減っていた。


今日中には亡くなるだろう。


あたしは視線を前へと戻し、歩調を早めた。


見たくなくても見えてしまう番号札。


人の命のカウントダウン。


人とすれ違う瞬間には思わず息を止めてしまう。


番号札を見ないように見ないようにしてすれ違う。


視界に入ってしまった番号は嫌でも頭に叩き込まれる。


番号が長ければホッとして、短ければ心臓を貫かれた気持ちになる。


それでも、あたしは関与しない。


前の生活に戻るだけだった……。