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それから数十分後。


あたしと聖也は公園のベンチに座っていた。


子供たちはもう家に帰っていて、公園の中にはあたしと聖也しかいない。


なんだか少し緊張して座り直すと、雨ざらしのベンチがギッと悲鳴を上げた。


「で、話ってなに?」


「考えたことが1つあるんだ」


そう言う聖也の目は輝いている。


聖也が何を考えて、何を報告しに来たのか。


考えなくても能力についての話だと言う事はわかった。


「俺達ってさ、いつも『助けたい』と思って行動を起こすだろ?」


「うん、そうだね」


あたしは頷いた。


助けたいと思わなければ、死ぬとわかっている人間に近づくこともない。


できるだけ離れて、できるだけ視線を合わせず、素知らぬ顔をして生きていく。


聖也と出会う前のあたしみたいに。


「その『助けたい』って気持ちを捨てれば、もしかして寿命が延びんるんじゃないかなって」


聖也の言葉にあたしは目を見開いた。


助けたいと思わない?