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気が付けばスマホが鳴っていた。


あたしはベッドから体を起こし、鞄の中からスマホを取り出した。


画面を確認すると聖也からの着信で、あたしは一瞬戸惑ってしまった。


聖也の過去を勝手に聞いてしまった後ろめたさと、聖也が抱えている心の傷の深さを目の当たりにして、臆しているのだ。


あたしは深呼吸をして、電話に出た。


「もしもし?」


『もしもし、寝てた?』


いきなりそう聞かれてあたしは自分の顔がカッと熱くなるのを感じた。


「別に、寝てないし!」


『そう? 寝ぼけたような声だったから』


聖也はそう言い、笑った。


その笑い声さえ、過去を知ってしまったあたしには痛々しく感じられた。


「なによ、用事があって電話してきたんでしょ?」


ムッとしてそう聞くと、聖也はようやく笑いやんだ。


『そうそう。ちょっと今から出て来られないか?』


「今から?」


あたしは時計を確認した。


午後6時だ。


出られない時間でもない。


「いいよ」


そう答えると、聖也は近くの公園に集合と言い、電話を切ったのだった。