聖也との間に沈黙が訪れた時、結菜が教室へ戻って来た。


どうやらサッカーは終わったみたいだ。


「あれ、2人きり?」


あたしと聖也を見るなり結菜はそう言った。


「うん。みんないないんだもん」


「え、でもこの組み合わせってなんだか意外! まさか野乃花……」


そう言い、結菜はあたしを見て笑う。


「やめてよそう言うの。みんながいないからサボリのあたしと休んだ聖也が2人きりになっちゃったんだってば」


聖也は決してブサイクではないけれど、正直パッとしない。


よく見ればいい部分のあると思うけれど、それほど仲良くもなかった。


お互いに呼び捨てにしあうなんて、思ってもいない事だ。


「なぁんだ、つまんないの」


結菜はすぐに興味をなくしてそう言った。


クラスには生徒たちは次々と戻って賑やかさを取り戻す。


その雑音にあたしはホッと息を吐き出した。


教室の沈黙というのは苦手だ。


テストの時や面談の時、それに、さっきみたいな事しか思い浮かばない。