花びらは排水溝のあたりに円になって集まり、一枚の大きな花びらのようになる。それはまるで、花の目のようだった。その目は恨めしそうに私を見つめる。

「私を見ないで!!」

 花の目を思いきり手で払った。さっきまでは感じなかったぬるりとした感触とともに、花びらは私の手にはりついた。小さな手で払われたくらいでは、大きな花の目はほとんど形をくずさず、私を見つめつづける。

 私は風呂場から逃げ出した。それから、手についた花びらを急いで流し落とそうとして、思わず息をのんだ。手についたままの小さな花の目たちが、じっと、私のことを見つめていたからだ。