春菜

私…美川 春菜。17歳。今年で高校2年生になります。

チュンチュン…

春菜「んー…眠たい…」
目を開けると目の前には真っ白な天井。
またこっちに戻ってきちゃったのか…
こっちっていうのは病院のこと。
昔から身体が弱くて病院に通う毎日だった。
私の病気は心臓病。
今のところ命に関わることは無いと言われてる。
けど20歳までに病気が急変して悪化すると命に関わる大惨事になると言われてる。
あと3年…あと3年頑張らないと…
病気を持ってる人にしては3年は長い。
いつどこで何が起こるかわからないからたまらなく怖い。
私はもう17年間もこの病気とたたかった。
この病気は死んだ母から受け継いだもの。

私の母は私を生んだすぐに亡くなってしまった。
母は元から心臓が弱く私と同じ病気を持っていた。
本当は子供なんか産める身体じゃなかった。
けど私ができてなにかを決心したのか産むといきなり言い出したらしい…
母を殺したのは私なのかもしれない。

その日からお父さんとの二人暮らしが始まった。
私はほとんど病院にいたからお父さんとの思い出なんてそんなにないけど昔二人で公園に行ったことがある。
公園に行ったとき私は初恋をした。

一人の男の子がいた。
どこか寂しそうで。
「どうしたの?」とお父さんが声をかける。
すると男の子は「なんでもないよっ!」と満遍な笑顔で笑った。
その笑顔に私は恋してしまった。
きっとなにか悲しいことがあったんだろうってことはその時でもわかった。
けど私だって自分が嫌なことがあった時何度もしつこく聞かれるのは嫌だから聞くのはやめて、公園でお父さんと私とその子と遊んだ。
「ねぇねぇ!お名前なんていうの?」
私は男の子に聞いた。
「僕はーー」


懐かしいな…
今ではお父さんも事故で亡くなっちゃって…もう昔のことだけど…
あの子、なんて名前だっけ?
初恋の子。
もう顔も名前も忘れてしまった。
ただ覚えてるのはこのクローバーだけ。
私は自分の本を開き、挟んであったクローバーを手に取った。


「春菜ちゃんっ!これあげる!」

「わぁ!可愛いクローバー!ありがとうっ!」

「うんっ!」


このクローバー…あの時はあんなに綺麗だったのに今ではもうクシャクシャ。ふふっ
私はクローバーを見つめながら空を見上げた。