「か、勘弁してください!これは、受験のための…」

「うっせぇな。貸してくれって言ってるだけだろ?」

「と、友達ならともかく、知らない人に貸して、いつ帰ってくるんですかっ」

 多分…いや、100%カツアゲ現場…。

 こんなの、今まで見たことなかったのに…。

「秋、行くぞ」

「え?」

「大通り戻って警察呼ぶ。今割って入るべきじゃない」

 こんな時に冷静にそう言われ、素直に頷く。

 息を潜めたまま、来た道を戻ろうとしたその時、カツアゲされてた男の子がこちらに視線を向ける。