「文句あるなら言ってみなさいよ!」

「…あるわけねぇじゃん」

「あ、こら!逃げるな!!」

 さーちゃんの声を無視して、夏は新しいパーカーを羽織らず肩にかけて志季のたまり場の方に行ってしまった。

 気分でも悪いのかな。

 でも、こういう時、1番喜んでたのに…。

「…夏、どうしたんだろ」

「知らない。何拗ねてんだか意味わかんない」

 さーちゃんは怒りながらもひまっちや彗ちゃんの会話に交じりに行く。

 みんな新しいパーカーは来て、黒ジャージはとりあえず腰に巻いてるみたいだ。

 なんか変なかっこで、ちょっと笑える。

 でも、笑ってる場合じゃない。夏のことが気になってしょうがない。

「ねぇ、ちょっと抜けるね」

「え?分かった。なんかあったら電話する」

「うん、お願い!」

 ひまっちが手を振ってくれたのに振り返して、急いで志季のたまり場まで走った。